秋山・伊東が藤崎台で激突!1980年、夏の高校野球県大会決勝「八代-熊本工」




秋山・伊東が藤崎台で激突!1980年、夏の高校野球熊本県大会決勝「八代-熊本工」

※画像、新聞記事は熊本日日新聞社の許可を得て利用しています。

熊本日日新聞社が夏の甲子園100回目を記念して、「紙面を彩った火の国球児」と銘打ち、県出身プロ野球選手らの高校時代の活躍を伝えた紙面や写真のデジタル化を始めました。

そこで、まず第一段「秋山・伊東編」として西武の黄金期を支えた秋山幸二さん(八代出)と伊東勤さん(熊本工出)の両選手が対戦した1980年、夏の高校野球県大会決勝が振り返ってあります。



1980年夏の高校野球熊本県大会決勝

秋山・伊東

1980年の夏、高校3年生となった2人は甲子園出場を懸けて激突します。当時の熊本日日新聞(熊日)の紙面によると、優勝候補は、2年生の園川一美(元ロッテ)ら好投手を軸に、春のセンバツに出場した九州学院、伊東とエース大津一洋(元西武など)がバッテリーを組む熊本工、秋山を投打の柱に春の九州大会で準優勝した八代の3校。

八代・熊本工特集記事・決勝までの試合結果

高校野球

熊本大会の開幕前、熊日は7月12日付朝刊に「夏の高校野球 県大会特集」が掲載され、八代・秋山は「183センチの長身を生かしたストレート中心のピッチングは九州ナンバーワンの折り紙付き」、熊本工・伊東は「クリーンアップの伊東、石田、山田は長打力があり、なかでも伊東は絶好調」と紹介されています。

八代

2回戦 2-1 八代南
3回戦 4-3 八代一(現秀岳館)
準々決勝 10-0 菊池
準決勝 2-1 熊本西

熊本工

2回戦 2-0 第一工業(現開新)
3回戦 1-0 八代工業
準々決勝 1-0 九州学院
準決勝 6-3 東海大二(現東海大星翔)

激闘となった決勝戦

この決勝戦の観客は1万2千人。熊日の社会面の記事の書き出しはこうなっていました。

藤崎台が燃えに燃えた。打てば打ち返す。取れば取り返す球児たちの熱闘

試合経過をたどると、前半は八代・秋山、熊本工・大津の両エースの投げ合いとなりました。

試合が大きく動き出したのは0対0で迎えた6回裏の八代の攻撃から。走者なしで打席に入った四番・秋山は応援団の「コージコール」を背に、熊本工・大津の直撃をはじき返します。「カーン」。快音が響き、打球は左中間の芝生席中段で弾み、推定飛距離が約110メートルの大ホームラン。「コージがやった!」。三塁側の八代応援席は総立ちとなりました。

しかし、流れはすぐに一変し、熊本工は7回表、二死三塁で、打席に三番の伊藤が逆転ホームラン。

熊本工伊東

その後も激しいシーソーゲームは続き、8回裏に八代が4対3とリードして、9回表熊本工の最後の攻撃となります。二死三塁の場面で三番の伊東が打席に立ちますが八代ベンチは伊東との勝負を避けて敬遠し、四番・石田との勝負を選択。秋山は最後の力を振り絞って2球で2ストライクと追い込み、3球目に外角低めの直球。秋山は「やった」と言わんばかりのポーズでしたが、判定はボール。この間に伊東は盗塁し、二、三塁に。

そして、5球目が運命の分かれ目となり、秋山が投げたカーブを打った石田の当たりはワンバウンドし、ゆっくりと秋山の頭上を越えてセンター前に。この一打で熊本工が土壇場で5対4と逆転勝利となりました。

決勝戦試合結果
熊本工 6-4 八代
熊 000 000 213
八 000 001 210

2018年6月、秋山さんが当時の思い出を振り返っています。

秋山幸二

高校時代の試合はほとんど覚えていないが、最後の夏の県大会決勝戦は、よく覚えている。自分も伊東もホームランを打ち、二転三転した。

今、強打者といわれる高校生は通算で50本くらいホームランを打つらしいけど、自分が高校時代にオーバーフェンスしたのは3本ほど。ライナー性の打球が多かったからかな。そのうちの1本を、あの決勝戦で打った。それも当時「日本一広い球場」だった藤崎台球場の左中間に。完璧なバッティング。あの一発で、西武のスカウトが野手として評価してくれた。伊東にホームランを打たれた球はカーブ。当時自分の持ち球はストレートと曲がらないカーブ(笑い)しかなかった。

試合はうち(八代)の1点リードで迎えた9回表の熊本工の攻撃。2アウトで走者2人。次の打者を2ストライクまで追い込み、投げ込んだストレートは見逃し。「勝った、甲子園だ」と思った。ところが、判定は「ボール」。「えっー」という感じ。そして、その後に投げた「曲がらないカーブ」を打たれた。はっきり覚えている。マウンドの前ではねたボールが自分の頭上を大きく超えてセンター前に。逆転され、その裏の攻撃を封じられ甲子園は夢と終わった。でも、あのまま甲子園に出場していたら、(投手としてプロ入りするなど)自分の野球人生も変わっていた可能性がある。

熊本が生んだ同学年の2人のスーパースター。秋山さんは2014年、伊東さんは2017年、それぞれ野球殿堂入りしています。

火の国球児たち「秋山・伊東編」熊日 note 購入方法

↓のサイトより、より詳しく記載された「秋山・伊東編」を200円で購読することができます。また、一部無料でも見れるそうです。

また、「紙面を彩った火の国球児」の第二段として、1985年に多良木旋風を巻き起こした「野田浩司編」もデジタル化されており、購入することが可能です。

今後は故川上哲治氏(熊本工-巨人)等も予定しているそうです。とても楽しみですね♪

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